預貯金の相続手続き(複数名で相続する場合)

例えば、銀行の定期預金1,000万円を相続人Aが60%、相続人Bが40%の割合で相続することになったようなケースです。

このようなケースの場合、金融機関によっては、金融機関所定の解約・払い戻し等の手続き書類に、相続人Aが指定する金融機関の口座と相続人Bが指定する金融機関の口座を記入すると、手続き完了後にそれぞれの口座に600万円と400万円を分割して振込んでくれるところがあります。

ただし、このような取り扱いをしていない金融機関もあり、金融機関所定の手続き書類上では、「相続人の代表者をAと決定して、その代表者Aに金融機関が全額払い戻しをする」といった取り扱いをしているところがあります。

つまり、金融機関からすれば、相続人全員が定めた代表者Aに全額の払い戻しをするので、払い戻されたお金をAB間でどのように分けるかについては関知しない、ということになります。

次に、相続人全員で遺産分割協議書を作成して、その遺産分割協議書に相続する割合などを明記して解約・払い戻しを受ける方法もありますが、書き方に注意しなければなりません。

<例1>

下記相続財産は、相続人中のAが10分の6、Bが10分の4、の割合で相続する。

宝塚銀行 宝塚支店 総合口座通帳

普通預金口座番号123456  定期預金口座番号78900

普通預金、定期預金、利息等の全部

上記のような遺産分割協議書の記載の場合、金融機関の窓口でAとBがともに本人確認書類等を持参して手続きをしなければなりません。

Aだけが窓口に行っても手続きができないことがあります。

また、そもそも金融機関によっては、上記のように分割して払い戻すことができないというところがあり、あくまで相続人の代表者にのみ払い戻しをするという対応しかしてくれないところがあります。

そこで、次のような記載をしておくとAだけが単独で手続きをすることができます。

<例2>

下記相続財産は、相続人中のAが10分の6、Bが10分の4、の割合で相続する。なお、Aは相続人を代表して、預貯金の解約・名義変更・払い戻し等の手続きを行い、払い戻しを受けた金員の10分の4を、Bが別途指定する口座に送金手数料を差し引いて送金するものとする。

宝塚銀行 宝塚支店 総合口座通帳  

普通預金口座番号123456  定期預金口座番号78900

普通預金、定期預金、利息等の全部